パリ、アパルトマンの外壁工事は10年に1度の義務なのです

文化・習慣

夏のパリに来て、外壁工事してる建物多いなぁと思ったことありませんか?

実はあれ、建物オーナーが義務付けられている外壁工事「ラヴァルモン」なんです。

バカンスで人や車が少ない時期に効率よく終わらせよう、というわけです。

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外壁工事「ラヴァルモン」

ravalement ラヴァルモン」とは磨き上げる、塗り替えると意味の言葉です。

パリの大家さんにとっては怖い言葉でしょう。

10年に一回、パリ市からそろそろ清掃する時期だよ、とお知らせがくるんです。

 

お知らせが来たらアパルトマンに部屋を所有する大家さんが費用を分担して

およそ一か月から3ヶ月かけて壁面のぬり直しと清掃を行います。

外壁によくある石膏の飾り物なども、このときに直すそう。

わがアパルトマンの工事も6月の終わりに始まりまだ終わってません(笑)

目的

目的は、パリの美しい景観を守ること。

定期的な修復により大掛かりな工事を避け、建物の価値を守ることにもつながります。

こちらの写真を見ると、壁面はもちろん、立体的に作られた飾りの部分など

明らかにきれいになっているのが分かります。

都市の美観を守る法規制、大切ですね。

ラヴァルモンがない都市「マルセイユ」

夏に行ってきたマルセイユはフランスで最も危険と言われる都市。

危険な街にはグラフィティがつきものですし、外壁が汚いイメージってありますよね。

 

この街は本当に外壁が残念なことになっていてびっくりしました。

右がパリ・左がマルセイユです。

壁が排気ガスなどのすすで真っ黒。

 

ラヴァルモンがあることが街の価値を高めているのを実感します。

マルセイユにラヴァルモンがないのか、行政が強制できないのか、は不明です。

街全体の雰囲気も荒れていたので市街に行くのはやめました。

コルビュジェさんという人が設計した古い共同住宅で昼からワインを飲んでいた贅沢な夏(笑)

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予算はどれくらい?

予算は1㎡あたり50ユーロから150ユーロ。

たとえば、われわれの住む家は8階建てで道路に面している幅は40mくらい。

天井高も結構高いので1フロア5mの高さがあるとして計算すると

8x5x40x50=8万ユーロ!!最低1000万円です!!な、なななんと。

計算して驚きました、賃貸万歳(笑)

各フロア5部屋くらいなので、40部屋あるとして、各部屋当たりの予算は25万円~75万円。

外壁全体ではなくて、道路に面する外壁のみでこの値段…

これ以外にエレベーターの点検から水漏れや塗装の修理など、大家さんは大変です。

エコなラヴァルモンも推進中

パリ市は断熱性の高い塗装を選んだり、暖房システムの見直しを同時に行うことも推奨しています。

“Copropriétés : Objectif Climat (共同所有:気候目標)”という省エネ対策を発表し、

専門家によるアドバイス、調査費や改修工事費用の一部を負担する政策も行っています。

わがやも暖房システムも見直してほしいものです。

隙間風がある家にオイルヒーターのみだと、なかなか部屋が暖まりません。

罰則規定

清掃を行わない場合は4,000ユーロ(約50万円)近い罰金を払わされることもあります。

とは言っても、この予算から考えると気持ちもわかりますよね(笑)

このため、不動産物件の紹介では「近年ラヴァルモン済!」のような記載も入ります。

面倒なことに、歴史ある建物の場合は許可も必要なんです。

長い場合だと、申請から認可まで半年ということも。

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パリの美観は大家さんのおかげ

こうしてパリの美しい街並みが守られているのですね。

大通り沿いのクラシックな建物は、

ナポレオン三世(あのナポレオンの甥)の治世1850~1870に計画されました。

フランス最大の都市整備事業ジョルジュ・オスマンによる「パリ大改造」の時期ですね。

そして、1880~1900年ころに竣工した建物たちは築130年!

築130年の建物がこれほどきれいに保ってくれる大家さん、ありがとうございます。

 

ジョルジュ・オスマンさんの業績の一つ、上水道の整備についてはこちらでも触れています。

パリの道路の掃除は合理的?とにかく水で流します。
パリの掃除風景 パリの道路に水があふれていることがあります。こんな風に 最初は、水道管の故障かな、と思ったのですが、これは正式なパリ市の掃除(笑)。 車道のわきにある水道の水を流して ...

 

パリの街をきれいに保つための外壁工事と思えば

窓から人の足が見えていた一か月も、必要なものだったなと思いました(笑)