フランスで読む「ウーバー革命の真実」破壊的移動の民主化

フランスで読む「ウーバー革命の真実」破壊的移動の民主化 読書

シャルルドゴール空港からUberに乗れるのを知ってたら、気持ちよい帰宅ができたのに。

 

一時帰国後、パリに帰ってきて乗ったタクシーの運転手は散々でした。

ずっと携帯の画面を見ながら運転、大声で電話、割り込んだドライバーに窓を開けて怒鳴る。

カードが使えると言っていたのに、現金で払えるか?としつこく聞いてくる。

 

家に帰って調べてみたら、シャルルドゴール空港からもUberが使えることを知りました。

フランスではUberが選べるならば、間違いなくUberです。

(しかもUberは50ユーロ・タクシーでセーヌ川左岸まで55ユーロでお得。
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フランスのUber

フランスでUberがサービスを開始したしたのは2012年のこと。

先ほどのようなドライバーが多い国なので、フランスもUBERが待ち望まれた国でした。

フランスのタクシー事情から見てみましょう。

フランスのタクシー

フランスのタクシードライバーでいい人に出会ったことは本当に少しだけ。

日本のタクシーのレベルの高さと比べると、パリのタクシーには呆れてしまうくらいです。

 

空港から正規のタクシーに乗ったとしても、定額料金以上の請求を行うドライバーもいます。

マシーンが壊れていると言い張り現金しか受け付けない人、

観光地なのに簡単な英語も理解してくれない、など、本当に不便です。

 

フランスのタクシードライバーは会社に所属するか、個人事業主という選択肢があります。

会社に所属する場合は運転免許のみで働けるますが、

個人事業の場合は所管の市役所(パリの場合は警視庁)から営業権を購入します。

パリ市内のタクシーの場合は10万から20万ユーロという高額の免許。

 

個人事業のタクシーが8割を占めると言われる割に質が上がらないのは

観光客なども多いのでタクシー需要が高く、努力しないのでしょうか。

タクシー業界の圧力により、営業許可証の発行数が抑えられているのも一因です。

フランスでのUber

2009年、フランスにはかねてからのタクシー不足・観光客の増加に対応して

「運転手付き観光車両」(Voitures de tourisme avec chauffeur: VTC)という免許ができました。

VTCは一般免許を取得後3年以上の経験と身体検査・250時間の研修で取得できる免許です。

 

VTCの枠内でのUberに対しては、正当な反対理由もなかったのですが、

2014年2月にUber Popという相乗りのUBERが誕生したところから事態は悪化しました。

このPopは相乗りの謝礼としてお金を払うもので、VTC免許は不要です。

2015年の6月にはパリを中心として2800台のタクシーが参加するデモも行われました。

あるドライバーは、ウーバーなどのアプリを使っていないと主張したものの、

怒りを爆発させたタクシー運転手らに車から引きずり出され、タイヤを切られ、

窓ガラスを割られ、放火されています。

 

事態を受けて2015年7月にUber社はUber Popのサービス終了を発表しました。

そんな波風多いUberですが、貧困層から上がるための手段としても話題になりました。

Uberによって救われた人たち

2016年3月のCourrierの記事に詳しいのですが

Uberドライバーを始め、ようやく貧困のスパイラルから抜け出して

両親と会社を立ち上げようとする若者も出てきています。

 

郊外に住み、もともと車を持っていた人たちにとって

100ユーロほどで送迎の免許を取得し、スマートフォンさえあれば始められるサービス。

参入障壁が低いビジネスで、貧困層が減ることは非常に良いことですよね。

UBERサービスの低下

2016年の3月からフランスに来て、ずっとUberを使っていますが

2017年に入ったころからUberのサービスが悪くなりました。

 

悪いと言っても、室内もそれなりに綺麗ですが、

これまではすべてのUberが水を用意してくれていたのにそれもなくなり、

ドアの開閉をしてくれる人も減りました。

 

この時期、Uberは手数料を20%から25%へと引き上げているので

ドライバーも経費を削らざるを得なかったのでしょう。

タクシー会社との折り合い

2016年にもタクシー業界がデモを行います。

今度は「Uberが増え過ぎたことによってタクシー業界が圧迫されている」との訴え。

 

タクシー業界のたび重なる反発を受け、フランス政府は2016年7月に

現在タクシーとして営業している人の営業免許を買い取るため、1億ユーロの予算を用意しました。

 

上限20万ユーロで、タクシーの営業免許を買い取り、

VTCによるタクシー業界への影響をおさえようとしています。

政府がこの対応を終えるには45億ユーロ必要とも報じられています。

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「ウーバー革命の真実」立入勝義さん

そんなパリで読んだのが「UBER ウーバー革命の真実」という立入勝義さんの本。

立入さんはアメリカに20年住むデジタル・マーケティングのコンサルタントで

本の取材を兼ねてUberドライバーとしても働いた経験がある方。

 

何がUberを破壊的と言わせているのか、配車リクエスト時にドライバーは何を見ているか、

など、とても面白い本でした。

いくつか面白かった部分を紹介します。

破壊的”Disrupt”な企業

この表現は定番らしいのですが、初めて知りました。

これまでのシリコンバレーの企業はインターネット内の革新が多く

実社会の産業のシェアを奪いに行くことはなかった。

 

UberやAirbnbはプラットフォームビジネス。

新規業者の参入とは異なり、「民主化」や「シェア」という言葉を切り口に

ホテルやタクシー業界に追いつけない速さでシェアを奪っています。

パリでのUberとAirbnbが破壊するもの

Airbnb・UberどちらもDisruptとくくられていますが

パリではAirbnbの方が、一般市民に影響を及ぼしています。

 

Airbnb目的での物件取得が増えて、家賃が上がっているのです。

あわせてホテル業界からの訴えもあり

パリ市もAirbnbを登録制にして宿泊数を制限するなど、規制を始めています。

 

Uberに関しては一般市民への影響は少なく、

一番大きな影響としては、タクシー業界による危険なストライキ行為でしょうか。

Uberがここまで成長できた理由

立入さんはUberが急伸した理由を下記の4つに分析しています。

①シェアリングエコノミー

2010年代はAirbnbなど、シェアする、自分で所有しないのが流行した時期。

シェア<共有>からビジネスを生みだす新戦略という本が出たのは2012年でしたね。

「持つのを止め、必要な時に借りる」という概念はこれまでのビジネスの垣根を超えていきます。

②GPS・スマートフォン

iPhoneが出たのは2007年。

GPSの精度なども高まり、いまではGoogleマップなどのアプリとの連携でUberを選択して

そこから乗車することができます。

GPS機能が進歩してなければ乗車までのスムーズな操作は難しいでしょう。

③AI

配車リクエストしてからのマッチング・需要が高まった時間帯のサージプライシング

(パリの通勤時間帯は2倍まで上がることも)などはUberのAIが計算しています。

AIの知見を蓄えることは、今後の自動運転への布石にもつながります。

④キャッシュレス

日本では、先日ペイペイ祭りも話題になりましたが、

アメリカでは日本よりもキャッシュレスが進んでいます。

当然、現金よりクレジットカードですが、

アメリカのタクシーは領収書が手書きだったり、と隙が大きかったそう。

日本の事例

日本に上陸したのは2013年9月、2014年8月から東京都でも展開しました。

僕が日本で乗ったウーバーはこの時期の一度だけ。

2015年3月の結婚記念日に原宿のレストランから蔵前の自宅まで乗りました。

 

非常に丁寧なドライバーの方で、気持ちよく帰宅できたのですが

やはり日本のタクシーのレベルは高いので二度目はありませんでした。

 

立入さんが語っているように、これからのキーは

過疎地域や、定年後にも健康な人など、これまでの労働市場に出てこなかった部分での

新しいマーケットづくりでしょう。

これから日本でUberは

日本国内でも「過疎地域の公共交通をどこまで守るのか」との話が増えています。

そのなかで、NPOに運営を代行してもらうバス、と言う事例もあれば

Uber特区という選択肢が出てきます。(現在京都府北部の京丹後市3年目の実装中です)

 

また、地方でウェブプログラミングのような仕事をしながら

兼業でUberドライバーという事例も出てくるかもしれません。

ドライバーとしての体験

夫婦で見ると、月に5・6回は乗っているUber。

ドライバー側からどのように見えているのか、と言うのも面白い部分でした。

配車リクエスト時に見えるのは「現在地・顧客スコア・現在地からの距離のみ」

ドライバーによる人種差別や、短距離の顧客を避けることなどを防ぐため

配車リクエスト時には性別や名前、目的地などは表示されません。

 

Uberではドライバーはもちろん、乗客も評価されています。

5段階の4を切るとアカウントが停止されることもあります。

 

反対にUberドライバーは4.7以上を保つように言われており

3.7を切ると警告文が送られてきます。

経験上Uberの点数は…

だいたいのドライバーは4.5以上で、4.4を切るドライバーの人には

どこかに難がある気がしています。

例:ずっと電話している・運転が荒い・非常にぶっきらぼう、など

支払いは週に一度

基本的に支払いは週に一度だけど、現在は手数料が一回50セントのInstaPayがあり

乗車完了してから申請したら、ものの数分で入金されるそう。

なお、指定のデビットカードを使えば手数料も無料。

 

あらかじめ成立している売り上げを振り込むタイムラグ解消のために

手数料を徴収するというのは、非常に賢いモデルだと思います。

(日本でも手形を買い取るサービスなど始まっていますね)

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関連するUberのサービス

 

Uberには賛否があるものの、フランスでもいろいろなサービスが人気です。

Uber EATS

フランスの家庭では外食より「友達を自宅に招いてごはん」の機会が多いです。

 

Deliverooというサービスが根付いていましたが、ここにきてUberEATSも健闘しています。

特にサービスに違いがあるとは感じないので、ユーザーからは対応店舗数だけが違いでしょうか。

 

ドライバーとしては、その賃金体系が気になるところでしょう。

Lime

電動キックスケーターのLimeに対して、Uberは巨額の出資をしています。

フランスではもともと電動一輪車やキックボードなども多く

さしたる法規制もなかったので、秋ごろから急拡大しています。

 

フランスは前例がないものに対して規制はせず、自己責任が基本なので

Limeに対する規制は、「歩道を走るのは止めようね」にどどまっています。

 

ラストワンマイル(公共交通から目的地までの移動手段)のマーケットは

これからさらに充実していくことでしょう。

日本での展開はだいぶ先のことになると思いますが…

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おわりに

Uberはこれからも成長していくでしょうか。

 

大事なのは、人から求められること、人を幸せにすることです。

Uberが配車プラットフォーム事業で成功したのは、

アメリカでタクシーに困る人のニーズをつかみユーザー目線でビジネスを進めたから。

 

配車プラットフォームサービスでのナンバーワンを盤石にするために、

ラストワンマイルを解決するために、

これからも移動に関わる全てにおいて、革命を続けてくれることを期待しています。

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