フィリップコンチシーニさんも来たし、Hugo&Victorは名古屋にも出店、そろそろお願いします吉田シェフって思ってたら渋谷に出店されることになった「MORIYOSHIDA」。パリでは週3で通ってた僕から、オープンに先だってモリヨシダさんをご紹介します。
パリ7区のMORIYOSHIDA
MORIYOSHIDAがあるのはパリの7区。近くにはナポレオンのお墓があるアンバリッド廃兵院やロダン美術館、そしてユネスコ本部や厚生省など国際機関や省庁なども多い閑静なエリアです。
サンジェルマンやマレのように人が多くないですが、日本のエリアでいうと麻布のような感じでしょうか、住んでいる人も駐在員や外交官、そして昔から住む生活に余裕がある人が多く住んでいます。多くの住宅が70㎡前後と広く、マンション一部屋の売値が100万ユーロ(1.2億円)ほど。
この閑静な住宅街の中、植栽のある通りにあるMORIYOSHIDAさん。写真の真ん中、グレーのテントのお店です。
モリヨシダはどんな店?
吉田シェフはインタビューで、このように語っています。
自分が日本人だと知ると、抹茶や柚子は使わないのかと聞かれることがあります。ただ、そういった日本の食材を使うと、正直、誰にでもできるお菓子になってしまうと思っています。それじゃ、フランスでやる意味もないし、「MORI YOSHIDA」がやる意味はないな、と
Foodionより
アオキサダハルさんが日本の食材を前面に押し出してくるのに対して、僕はこのMORIさんの作るお菓子の方が好きでした。せっかくフランスにいるんだから、フランスの素材のお菓子を食べたい、しかも、日本クオリティで、重たくない仕上がりで。それを叶えてくれるのがMORIさん。
オンライン通販は公式BASEと伊勢丹(期間限定)
MORIさんの通販は公式のBASEがあります。こちらでの取り扱いは、コンフィチュールと、サロンドショコラ限定のチョコのみ(取り扱いはバレンタインシーズンのみ)。
渋谷スクランブルスクエアは東急が運営していて、食品フロアは東急フードショーなので、東急百貨店ネットショッピングで買えるようになるかもしれません。
日本のサロンドショコラを運営する三越伊勢丹でも、サロンドショコラ時期(例年1~2月)に取り扱うことが多いので、12~2月初旬になったら伊勢丹オンラインのページからチェックするのをおすすめします。
特に情勢が不安定な2021年には、サロンドショコラの混雑を避けて通販に切り替えることも予想されるので、地方の方も買いやすくなるかもしれませんね。
モリヨシダパリ本店・渋谷店の営業日・営業時間
パリのモリヨシダは月・火休み。
水曜から日曜は毎日10時から19時半まで営業しています。
お休みのお知らせは公式のInstagramをご確認ください。
65 Avenue de Breteuil, 75007 Paris, フランス
+33 1 47 34 29 74 (日本語OK)
渋谷のお店は渋谷スクランブルスクエアと同じですので年中無休で11時から21時まで(状況により10時からに変わるかもしれません)。
営業時間が不規則に変わることも予想されるので、お店に行く前に渋谷スクランブルスクエアのオフィシャルウェブサイトをご確認ください。ケーキを買いたかったら午前中から午後3時までに行くと買えることが多いですが、土日は特に要注意です。
人気のモンブランを買いたかったら整理券が必要です。午前中11時半に行ったら、午後3時~5時の整理券がもらえるくらいなので、オープンの11時に行くのが良いかと思います。特に土日は要注意。
※整理券は一人2枚まで、有効時間(基本的に2時間ごと)を過ぎると無効!
他のケーキは整理券なしでも購入できるので、シグニチャーの「M」などの購入もおすすめ!
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2丁目24−12
渋谷スクランブルスクエア代表電話 03-4221-4280
吉田シェフの経歴|日本でもフランスでも2年連続テレビチャンピオン
吉田シェフは、1977年7月26日 静岡県清水町で洋菓子店を営むご実家の三男として生まれました。
上のお二人が全く違う業界へ進む中、自分が継ぐしかないな、と思いながら日本菓子専門学校専門学校へ進学、当時はあまりやる気がなかったそう。卒業後に入った青山のアニバーサリー*(アニヴェルセイユとは違います)で2年働いたのち、半年ほどフランスに滞在してからパークハイアット東京へ。
*ちなみに、こちらのアニバーサリーも渋谷スクランブルスクエアに出店予定です。
パークハイアットでは、ウェディングから皿盛りのデザート、ブランジェリーなどを経験します。意識高い同僚に恵まれたこともあり、まずは日本一を目指そう!という気持ちの元4年働き、シェフパティシエをしていた横田秀夫シェフが独立するタイミングで、横田シェフに引っ張られて埼玉の菓子工房オークウッドへ。
1年後の2005年に自身のお店「パティスリー ナチュレナチュール」(2016年閉店)を静岡にオープンします。なんとその時モリさんは27歳。地方では都会での経験もうまくいかせず苦労するなか、2006年にテレビチャンピオンに出場して、なんと優勝します。そして翌2007年も優勝!
お店が順調に成長する中、自分のお菓子を追求しようとフランスでお店を開業することに。 2010年から渡仏して三ツ星レストランの「ギー・サヴォア」や「ジャック・ジュナン」「パティスリー・デ・レーヴ」で研鑽を積みました。そしていよいよ自身のお店をオープンするのですが、工事予定の3カ月を終えても工事は終わらず、結局工期は8ヶ月、2013年にパリに「MORI YOSHIDAをオープンします。
2014年パリで開催されたサロン・デュ・ショコラの品評会「C.C.C.」で「AWARD DU CHOCOLATIER ETRANGER EN FRANCE」を受賞*。そして2018年、フランス版テレビチャンピオン「Meilleur Pâtissier 2018」でチャンピオンになり、翌2019年も優勝。今では並ぶのが嫌いなフランス人も並ぶお店です。
*2017年には辻口博啓さん(ル ショコラ ドゥ アッシュや自由が丘モンサンクレールのシェフ)が同じ賞を受賞
MORI YOSHIDA吉田守秀シェフへの中傷事件に関して
2015年、某フライデー紙がテレビアナウンサー牧野結美さんとの不倫疑惑という記事を出しましたが、吉田さんはこの件に関して一切を否定しています。と、いうか、記事内でも誰とも書かずにネト民が勝手に憶測推定した(させた)流れなので、暇人の勝手な幻想でしょう。
1つだけ言わせていただくと、男前すぎですね。背も高いし、羨ましい(笑)
テレビや雑誌で人気のケーキ|味の構成・値段
モリさんのケーキは季節によって入れ替わります。
僕らが大好きだった苺のロールケーキは4月から7月くらいまで。その季節の美味しいものしか使わない、その土地の美味しい素材を生かして作る、というのは日本料理に通じるようでいて、いつもショートケーキが買える日本のケーキ屋さんとは異なる主義を感じます。
今日はその中から僕らが大好きだったもの、フランスのメディアでも人気のケーキを紹介します。
モリヨシダの人気のケーキ①シグニチャー「M」 6.2ユーロ
モリさんのケーキと言えば「M」。チョコムースのケーキです。初めて行ったときから、お店のシグネチャーメニューとしておすすめされていたのですが、見た目が少し重たそうで敬遠していました。が、これめっちゃ軽いんです。軽いんだけど、ムースが泡過ぎず、甘すぎず、食感のバランスが絶妙。
甘すぎないのはムースがチョコムースだけじゃないから。一番底にはヘーゼルナッツを使ったビスキュイ生地、あっさりした甘さのメープルシロップのムース、チョコレートのムース、マンダリン(みかん)のコンフィチュールの層をチョコで覆っています。上にのっているヘーゼルナッツの香りが最後に口に残るから何とも後を引くおいしさ。
【モリヨシダ】人気のケーキ②ババトロピカル 6ユーロ
ババっていうと、ババオラムを思い出しますよね。カップケーキみたいな形のケーキにラム酒を染み込ませてあるフランスの伝統的なお菓子です。これはこれで美味しいんですが、ちょっとアルコールが強くてトラウマになっている人も…(うちの奥さまもその一人)
このババはノンアルコール。ババの生地にはパッションフルーツの果汁が沁みていて、生クリームの下にマンゴーのクリームと果肉が。そのままのマンゴー×パッションフルーツという組み合わせも最高ですが、スポイトの中のココナッツミルクが加わるとなんとも…驚くくらいトロピカル!です。目の前で最後のババを買われたことが三度くらい…フランス人も奥さまも大好きなババです。
【モリヨシダ】人気のケーキ③モンブラン 6.2ユーロ
モンブランがイチオシ!という人も多いです。フランスのモンブランはベーシックなレシピだけど、とにかく甘いお店(アンジェリーナ・Seccoなど)と、変化球でフランボワーズとかの赤い果実系を入れているのが面白いけど欲しいのはそれじゃない系(ガトーエデュパン・セバスチャンデギャルダンなど)が多くて、ちょうどよい甘さで美味しいモンブランが少ないんですよね…
モリさんはちょうど良いしとっても美味しい。
土台に使っているのはパータフィローという紙のように薄いパリパリの生地。その上にアーモンドクリーム・バニラ風味の生クリーム・栗のクリームという構成。少しだけブランデーかコニャックの風味があって、でもどの要素も強すぎず、バランスよく、なおかつ食感も素敵なモンブランです。
【モリヨシダ】人気のケーキ④ベージュ 6ユーロ
ベージュもまた、人気のあるケーキ。数年前にはエクセルシオールカフェとコラボしたので、それを覚えている人もいるかも…もちろん本家はそのコラボのケーキよりも素敵な仕上がり。
ベージュの色はミルクティの色。土台はチョコレートのサブレ、その上に少しオレンジ香るチョコのガナッシュ、紅茶とライムのムース、飾りにはホワイトチョコの花びら、紅茶の茶葉、ライムの皮、青い花は矢車菊でしょうか。矢車菊はアールグレイ系の紅茶の香りづけに使われる食べられる花(エディブルフラワー)です。
ミルクティとチョコのような、ちょっとした変化球だけど馴染む組み合わせはモリさんならでは。
【モリヨシダ】人気のケーキ➄フラン 4.5ユーロ
フランというお菓子になじみがないかも知れませんが、フランスではとてもポピュラーなお菓子。イメージでいうと、タルト生地に流し込んだ硬めのプリン、なのですが、厳密にはプリンとは違います。硬さは硬めの卵焼きくらいでしょうか。材料にコーンスターチを入れるところが多いです。
フランス人はフランが大好き。モリさんのフランはVogue誌の「パリ一番のフランはどこ?」という記事でも上位に入ってるし、雑誌のフラン特集には必ず出てくるほど。
モリさんのフランはフランは生地がみっちりしていながらも口どけがよく滑らかで香り豊かなのが最高。正確な配合・計量・温度・時間管理がモノを言うケーキなので日本のパティシエが価値を出しやすいケーキかも。卵・牛乳・砂糖が中心のケーキなので一つでお腹いっぱいになります。
MORIYOSHIDAのフランに使うアパレイユ(中身の生地)の配合
(2014年magazine Fou de patisseriより)
牛乳…100g 生クリーム…189g バニラビーンズ…0.66g
卵白…23g 卵黄…95g 砂糖…102g マイズナ(コーンスターチ)…41g
【モリヨシダ】おすすめのパンクロワッサン
クロワッサンの美味しさって、レシピ・原材料・パティシエ(ブーランジェ)の3要素で構成されると思うのですが、もちろんモリさんはどれも完璧。断面を見てもらうとわかるのですが、きれいに生地が持ち上がっています(=正確な作業が行われたという証拠)。
バターの風味がたっぷり香ってくるものの、重たくないバランスがさすがです。ふっくらサクサク系なのでブレシュクレや2018年パリ1位のメゾンピシャールなどのビロビロ系より、メゾンカイザーや2018年2位のクロワニヴェールに近いです。
写真に写っているイチジクのタルトの生地はブリオッシュシュクレに近い感じです。同じ時期のリンゴはモンブランに使っていたパータフィローだったり、果物によって生地を変えるのも
【モリヨシダ】おすすめの焼き菓子チョコサブレ
日本のサロンドショコラで大人気らしいですね。パリで買っている人を見たことないのですが、パリで大人気!と書いている記事をよく見かけました。僕が行っていた日以外(近くのマルシェがやっている木・土曜日)に焼いてて、即完売しているのかもしれません。
とはいうものの、タルト生地が安定してどれも美味しいこと、パリのサロンドショコラでも評価が高いことを考えても美味しくないわけがありません。並ぶのは嫌だけど、渋谷にモリさんができたら必ずサブレを売ると思うので、買いに行こうと思ってます。
パリ本店ではテイクアウトして芝生の上がおすすめ
パリのお店にカフェコーナーはないのですが、お店の前には気持ちのいい芝生が拡がっています。モリさんで買ってここで食べる人たちも多いらしく、Instagramなどでもここでケーキを広げている写真がたくさん。
もちろん僕も、天気がいい日はここで頂いてました。この写真のタルトシトロン柚子もメレンゲのくちどけ、柚子の酸味と甘みのバランス、タルト生地の硬さ、どれをとってもちょうどよい素敵なバランスでした。
あのラデュレと世界中でコラボレーションしてた?
2019年の春、あのマカロンで有名なラデュレ(実はPAULグループ)のイースターマカロンとイースター用のケーキをモリさんが作ってました。
モリさんが静岡で成功した「地道に頑張る→コンテストで賞を獲る→テレビで優勝」という戦略が実を結んだ結果でしょう。このポップを見た時、とても嬉しかったです。
渋谷スクランブルスクエア
渋谷スクランブルスクエアは2019年11/1開業です。こちらにモリさんがいらっしゃってもう一年がたちました。相変わらずモンブランが大人気で並ぶようですが、ぜひ皆さまにも試してほしいです。個人的なおすすめはババとM!
同じ施設内にはエシレの渋谷店、フィリップコンチシーニの渋谷店、そして、c7h8n4o2(チョコ係)さんではニースのクレール・マリさんのショコラやコンフィチュールも買えます。ここ数年、足が遠のいていた渋谷ですが、楽しくなりそうですね。