東京で買えるバゲットの中で、PAULが一番って言ってたのはその製造工程を知っていたからなのかな…雅子さんさすが!
パリに来た時に「おお!本物のPAULや」って驚いたのは大学の時にPAULって呼ばれていたのも理由の一つ(笑)ここ数年大学の同級生に会ってないけど、元気かな。
パリ市には30軒以上のPAULがあって、買い物してるとしょっちゅう見るよ。スタバの方がよく見る*けど、スタバと比較できるくらいの頻度。
*パリ市内にスタバは50店舗以上
ときどき買うことあったけど、そういえば中で食べたことないし、これはPAULの名が廃る!って思ってサンジェルマンのPAULに行ってきたので報告まで。まぁ、呼んでくれる友達が減ってるので廃れてるんだけどね(笑)
サンジェルマン街角「PAUL PARIS SEINE」で夜ご飯してきたよ
サンジェルマンって言うと、あっちのパン屋も思い出すよね。そうそう、塩パンがおいしいあのサンジェルマン*。
*サンジェルマンの名前の由来はこのエリア。サンジェルマンを展開するJTはサンジェルマンの有名カフェ「レ・ドゥ・マゴ」と提携して日本でカフェもやってます。
メトロ10番線のMabillon駅を降りて歩いて3分かな。この近くにはサンジェルマンデプレ教会とか一風堂もあるし、デザイン本とかで知られるTASCHENもあるよ。
日本にいても何となく聞いたころあるエリアってだけあって、かわいいテラスのカフェとかもたくさんあって、散歩に行くのにもおすすめ。
Saint-GermainのPAULに到着
PAULの扉を開けると、左手には立って食べられるバルスペース。軽くつまむだけの時はここでカフェとパンオショコラ、とかもいいよね。パリジャン・パリジェンヌごっこしてみたい(笑)
右手にはクロワッサンやパンオショコラからサンドイッチ、ケーキまで並ぶショーケース。ショーケースの奥には厨房があってパン作ってる。
この天井の柄とか、シャンデリア型のランプがさすがパリ。でもここだけじゃ照明が足りなかったんだろうね、天井にもスポットついてるもん(笑)
さて、今日は夜ごはん食べるので奥へ。
この天井とか、照明の雰囲気がまるで高級レストランじゃん!って思うけど、まぁこういう内装はよくあるよ。一度オペラのスタバに行ってみるのもおすすめ。あそこの方がすごい。こんなん↓。
カフェだし、こちらへどうぞって言われることもなく*適当に奥の方へ。
*ランチの忙しい時間とかだと、ここ座って!と案内されるけど、そうでなければ席は自由なことが多いよ。
座ってると、お姉さんが「何食べる?」と聞きに来てくれる*スタイル。
*フランスではすみません!って呼ぶのはマナー違反だから気をつけてね。
お姉さんは簡単な英語は話せるし、メニューには写真も載ってるから「これ食べたい」って言っても通じるし、隣の人のが美味しそうだったら「あれ食べたい!」でも大丈夫。
フランス語だと「あれと同じものください」は
Je voudrais demander le même plat là bas. (ジュヴドレドゥマンデ・ルメームプラ・ラバ)
だけど「That one please」って言ってウインクすれば通じる。
そのとき、食べてる人と目が合ってもウインク。笑顔で「Ça a l’air bon(サ ア レー ボン)美味しそう! 」とか「Looks Nice」って言えると最高だよね。
朝ごはんは 5.8 € セットメニューは 14.9 €から
このPAULは7時半にオープン。
朝ごはんはシンプルなパリジャンセットが 5.8 €。
暖かい飲み物(コーヒー・紅茶など)、ヴィエノワズリ―(クロワッサン・パンオショコラなど)1つ、バゲットとバター・ジャム)
オレンジジュースがつくと 8.4 €、オムレツもついた贅沢メニューだと 18.9 €。
シンプルセットでも結構お腹いっぱいになるし、贅沢メニュー食べたらしばらく動けなくなると思うよ、僕は(笑)
昼以降のメニュー
Formules(定番)はLe Classique(クラシック)というシンプルなメインと飲み物セットで 14.9 €。
たとえば、スモークサーモンのガレットと、オレンジジュースとか…。
僕はいつまでたってもハンバーガー大好きなので、PAULのバーガーいかなるものか。
と、ハンバーガーに挑戦。
ハンバーガーは 14.9 € のセットでは選べず、Gourmand(食いしん坊)メニュー。
メイン・飲み物・デザートセットで18.9 €。
PAULのクロワッサン
すでに食いしん坊って書いたメニュー頼んでるのにせっかくPAULに来たからクロワッサンも食べとかなきゃ!と追加でクロワッサンも頼んでみたよ。あとで少し後悔するんだけどね…
クロワッサンは、持ち帰りやバーで頼むと1.2 €、座って食べると1.5 €。
生地がきれいに立ち上がっているし、しつこすぎず、安定の味。少ししっとり系かな…
お姉さん優しいし、クロワッサン美味しいし最高。
前菜(笑)のクロワッサン食べ終えたところでメインが登場。
PAULはBRTハンバーガー(Bacon Roquette Tomate)
そしていよいよ到着したハンバーガーがこちら。ハンバーガーなのに、フランスパンもついてくるのがさすが。っていうか多くない?とか思ったけどバゲットも温められてて嬉しくて食べちゃうよね…
ハンバーグが少し焦げてる?って思って半分に切ってみたけど、芯に少し赤みが残っていて、ちょうどいい焼き具合かも。
見ての通り、パンはふっくらしているバンズではなく、ベーグルっぽい。かぼちゃの種の食感とかも楽しいし、美味しい。あめ色玉ねぎとか、ルッコラなどいろいろ入ってるから食べ飽きないし、お肉もしっかり牛肉の味がするし、ベーコンも旨い!やるやんポール!
バーガー食べ終えた時点で結構満足。なんだけどこのセットはが、デザートついてるんだよね。クロワッサンとフランスパンも2切れ食べちゃったのに(笑)
クレームブリュレ
口の中は少ししょっぱい状態なので、甘いものを食べたくてクレームブリュレ。
上にのってるパリパリの砂糖の厚さもちょうどいいし、クレームの層はなめらかで美味しい!
フランスのデザートだからちょっとだけ甘すぎるかなぁ…でも美味しい。
でも、でも、お腹いっぱい(笑)
料理を仕事にしていた人間として、頼んだ料理が美味しかったら残すわけにはいかない*…
*適当に調理された美味しくないものは残せるけど、ちゃんと調理されたものを残すのは非常に心が痛む
1つだけ大切なアドバイス
セットと一緒にクロワッサン食べたかったら持ち帰りにするべき。
パリのPAULのパンの値段って安い?
クロワッサン( 1.2 € )パンオショコラ ( 1.3 € )ショーソン・オ・ポム( 2€ )
日本のPAULと比べると3割くらい安いのかな…
サンドイッチは4~6€。どこへ行ってどれを食べても、きちんと美味しいのがPAULのすごいところ。安心できるお店。質の高いレシピ共有などしてるんだろうなぁ…
じつは日本のPAULでも同じ味が提供されているの。
クロワッサンなどのヴィエノズリーはフランスで作ったものを冷凍して、日本で焼成。
さらに驚くのがフランスパン。小麦がフランス産なのはもちろん、塩・そして水もフランス産。世界どこでもPAULクオリティなんてすごい。
PAUL PARIS SEINE ポール・パリ・セーヌ (6区)
住所:21 Rue de Buci, 75006 Paris Googleマップ
最寄り駅:10番線 Mabillon駅 徒歩3分・4番線 Saint-Germain-des-Prés駅 徒歩5分
営業時間:月~木 7:30–20:30 金・土 7:30–21:00 日 7:30–20:00
PAULについてもうちょっと詳しく
PAULについて調べ始めたら、創業時期や、どのように展開したかなど気になって、色々ググってみたよ。この先を読むとPAULのパンが0.5%くらいおいしくなるはず。
(興味なかったらミシュラン獲った日本人シェフレストランの記事とか読んでね)
創業期(1889年~1952年)
1889年、フランス北部の都市リールに近いCroix(クロワ)で現在の代表フランシス・ホルダーの曽祖父シャルルマーニュ・マイヨが創業したパン屋が初めてのお店。
1908に2代目のエドモンド・マイヨ(写真右)がお店を継いだの*。
*直後の1914年から1918年の間、リール付近はドイツ軍により占領
1935年マイヨ家の娘、セザンヌ(写真中央)がジュリアン・ホルダーと結婚し、リールのサラザン通りに新店舗を出店。この頃、現在の代表、フランソワが誕生。
PAULの買収と二店舗目(1983年から1985年)
PAULという名前は1953年から。
創業者の孫(現代表フランソワの父)、3代目のジュリアン・ホルダーがリールのPAULというパン屋を買ったところから。
PAULという名は、もとの所有者の家族の名前で一族にポールがいたわけじゃなかったってのが驚きだよね。家系図をたどれば誰かしらいるかもだけど、そこで他人の名前のまま行くんだって(笑)もともとのPAULの評判がよかったのかな…
1958年4代目、フランソワ・ホルダーになってから拡大路線
1958年に急逝したジュリアンの跡を4代目フランソワ・ホルダー*が17歳で継ぎます。
*現在はPAULの経営は息子のマキシムに譲りホルダーグループの代表。2019年現在78歳資産は11億 €!
17歳だしパン職人としては半人前だったけど、母セザンヌと力を合わせ、数年かけてPAULを評判のパン屋に成長させていったのがすごいよね。
彼が若くして背負った重責、実力のない坊ちゃん4代目がお店を仕切れるようになるまでの学びが、PAULの急成長のキーポイントだと思う。
彼は、この過程で製法や品質だけじゃなくって、例えばパン屋の仕事をお客さんに見せること、販売と生産を同じ場所に置くとか、これまでのパン屋になかった店づくりを思いついてるんだけど、これって世の中を変える3モノ「ワカモノ・バカモノ・ヨソモノ」の若者だったから出来たんだろうな。
1970年ショッピングセンターにパン屋を出店という転換点
1963年にリールに初の支店を出してから、成長が加速。
PAULの現代表、次男のマキシム・ホルダーは、1970年代の半ばに、リールのショッピングセンターにお店を開設したのが大きな転換点って話してる。
当時はショッピングモールにパン屋がお店を構えることはとても珍しかったんだけど、この出店に成功してから大きなショッピングモールへの出店を増やし*て、MONOPRIXやAuchanという大手スーパーにもパンをおろし始めたんだって。
*ノウハウを蓄積してちゃんとスケールさせるのがフランスのパン屋・ケーキ屋っぽい。ヴィクトルユーゴとかクリストフミシャラクとかまさにそれ。
大きな駅やショッピングモールに行くと必ずといっていいほどPAULがあるのはだからなんだなぁ…展示場とかめっちゃ入ってるもんね。サロンドヴァンの時とかよく行くもん(笑)
海外へのフランチャイズ出店とブランド化(1985年以降)
初めてのフランチャイズは1985年のバルセロナ。この頃からお店の中に飲食スペースも作ってベーカーリーレストランっていう、いまのPAULっぽい感じが出てくる。
そして、1990年出店の名古屋*など、次々と海外出店を重ねてく。こうなるとフランスって強いよね。フランスってやっぱ憧れるもん…
*日本一号店の名古屋松坂屋店は2010年8月に閉店
日本では超熟で知られるPascoの子会社「レアールパスコベーカリーズ」が運営してるんだって。
1993年に今のロゴマークと落ち着いた内装コンセプト、そして世界中同じ味を提供するためのレシピも開発されてる。ここですよ、やっぱポイント。
同時期にマカロンなどで有名なLaduréeも買収*してる。
*フランソワ・ホルダーは家業から独立しようとした長男ダヴィッドに「ちょっとこれやってみろ」とラデュレを買い与えたとも噂されてる(笑)ダヴィッドはラデュレの事業拡大に大成功。
1994年にトルコに出店してからは、モロッコ・オランダ・イギリス・レバノン・UAEと出店し、現在では世界43か国に620店以上の展開してるんですって!びっくり!
巨大なるファミリー企業Holderグループ
2013年の時点でグループの売上高は約4億5千6百万ユーロで、従業員数は8,000人。
(上場していないので最新の数字は公開されてないけど…)
グループ代表のフランソワ・ホルダーを筆頭に、長男のダヴィッド(49歳)はLaduréeの代表を、次男のマキシム(47歳)はPAULの代表、そして妹のエリザベス(44歳)がもう一つのパン屋Saint Preuxの代表をしているそう。(2015/6/24FranceSoirより)
会社が大きくなって、色々大変だろうけど、これからもとにかく美味しいパンを作ってほしいな。
ということで、長くなったけどこれでPAULのパンが味わい深くなる、よね?…誰かここまで読んでくているのだろうか(笑)
ちなみに僕のお気に入りパン屋はサンシャルルのブランジェリー。2018年のクロワッサンコンクールでパリ二位だよ!バゲットコンクールの結果はこちら。